ゲストハウスに来たらぜひご覧いただきたいものがあって、それは「絵」です。
ゲストハウスのコンセプトを『モモ』にすることにした経緯については、「【どこにもない家の話 その2】ゲストハウスの名前の由来は『モモ』から」でお伝えしました。
そして、そのコンセプトに沿った「ゲストハウスのキー(鍵)となるようなもの」があった方が良いように思い、絵を飾ることに決めたのです。
その絵を依頼させてもらったのが「棚村彩加さん」でした。
棚村さんはフリーの画家で、以前SNSを通じて少しやり取りがあっただけでほぼ面識はありません。
恐る恐るご依頼させていただいたところ、なんとご快諾いただけました。
テンションが上がっています。
目次
そもそも棚村彩加さんとはどんな人なのか
棚村さんは東京藝術大学で絵を学び、大学を卒業後はフリーの画家として活動しています。
僕が棚村さんのことを知ったのは、「東京藝術大学の学生生活は本当に病むから気をつけた方がいい」の記事がバズったときでした。
東京藝術大学と言えば、芸術大学の中でも最高峰の大学です。
さらに棚村さんの専攻は油画なので、東京藝術大学の中でもっとも倍率が高い学部。(ネットでちらっと調べてみたら約20倍の倍率でした……ちなみに東大は3.8倍くらい)
さらにさらに「5浪6浪は当たり前」と言われる大学に、棚村さんは現役で合格しています。本当にすごい。
バズった記事は「芸術」というものに正面から向き合う葛藤がリアルに書かれていて、とても読み応えがありました。ぜひ一度お読みいただければと思います。
棚村さんのこれまでの活動については、彼女のブログやプロフィール記事を読むことができます。
とはいえ、ブログを読んだとしても棚村さんの実態を正確に掴むのは難しい。むしろ作品の方が棚村さんを的確に表しているような気がします。
作品についてはポートフォリオサイトがあるので、そちらからご覧ください。
なぜ棚村彩加さんに絵を描いてもらおうと思ったのか
棚村さんのことが気になったのは、バズった記事が理由ではなく
- 棚村さんが描く絵がとても好きだった
- いなフリ(田舎フリーランス養成講座)の受講生であった
の2つが大きな理由です。
棚村さんが描く絵がとても好きだった
棚村さんの絵を観てもらうとわかるのですが、抽象的な絵を神秘的な色使いで描く作風です。
絵を観ていると不思議と想像力をかき立てられ、物語が動き出しそうな、そんな気がしてきます。
人の心の奥にある風景を描いているかのような作風が、とても素敵だなと思ったのです。
いなフリ(田舎フリーランス養成講座)の受講生であった
棚村さんは、いなフリ(田舎フリーランス養成講座)の受講生でした。
いなフリは、WEBを通じて収入を得るためのスキルを学ぶ、一種のスクールです。
いなフリが一般的なスクールと違うのは、集まった参加者が1つ屋根の下で1ヶ月ほど生活を共にすること。
生活を共にするからこそ近づける距離感があり、共有できる思いの濃さがあります。
いなフリは単にスキルを学ぶ場であるだけでなく、「人生に対する悩みを丸ごと持っていくことのできる場」でもあるのです。
僕も仕事をやめてこれからどうやって生きていこうか悩む中で「いなフリ」の存在を知り、参加を決めました。
そして、講座や共同生活を通して様々な生き方・働き方を知り、これまでの常識にとらわれずに「自分に合った生き方・働き方を見つけよう」と思うことができました。
だから、いなフリには今も並々ならぬ感謝の気持ちがありますし、そこに参加している人たちのことは無条件で応援したいと思えてしまいます。
棚村さんが書く記事やSNSの発信を通して、棚村さんも苦しみながら人生に真剣に向き合っていることが伝わってきて、それも絵を依頼するきっかけになりました。
『モモ』をテーマにした絵「星の時間」とその感想
棚村さんは、今回依頼した絵を描き上げるのにかなり苦労していました。
テーマが限定され過ぎていて、描きづらかったのかもしれません。
とはいえ、しっかりと絵は完成しました。
正直に言いますと、最初に絵を観たときに、「思ってたのと違うな」と思いました。
また、「なんだか殺風景な絵だな」とも思いました。
もちろんこの感想は、僕の視点や考えが棚村さんに追いついていなかっただけで、その後の時間の経過とともに、この絵の持つ素晴らしさに気づきます。
そもそも僕は『モモ』をテーマに、とだけお願いしたにもかかわらず、無意識に「棚村さんなら『時間の花』をメインに描くに違いない」と思い込んでいた節がありました。
なぜなら、棚村さんのこれまでの作品の多くには「花」がメインのモチーフとして扱われていますし、「時間の花」は『モモ』の物語の中でも重要なシーンだからです。
でも、棚村さんが切り取ったのは「星々の声を聞くモモ」のシーンでした。
それでちょっと肩透かしを食ったように感じてしまったのです。
しかしよく考えれば、そもそもゲストハウスが大切にしたいことは「耳を澄ませて大切な声を聞くこと」であり、決して「答えを目にすること」ではありません。
だから大切なのは「星々の声を聞くモモ」を描くことだったのです。
棚村さん、本当にありがとうございました。
今後も棚村さんの絵は増やしていきたい
棚村さんに描いてもらった絵「星の時間」は、メインの客室に飾られています。
目を閉じて耳を澄ませ、思いを馳せるモモを見ていると、次はどんな絵がこのゲストハウスに必要なのかな、と想像が湧いてきます。
僕も以前から棚村さんとはお会いしたいなと思っており、この申し出はとても嬉しかったです。
ちょうど6月下旬にプレオープン撮影会を予定していて、棚村さんもそこに合わせて来てもらうことになりました。
打ち合わせからのランチ
掛川がめっちゃお洒落だなかなか異色メンバー🙃 pic.twitter.com/sWYqMpDAeX
— 松山カンキ (@wemmick03) 2019年6月26日
実際にお会いした棚村さんは、ほんわかしていて実に素敵な雰囲気の方でした。
棚村さんには「たなむー」というニックネームがありますが、そう呼びたくなる気持ちがよくわかります。
あと、棚村さんにお越しいただいた当日、実は棚村さんの描いた絵に額装をして届けてもらうことになっていました。
額装をお願いしたのは、地元の木工家具「Quelque chose(ケルクショーズ)」さん。
▲刈り上げおっさん二人に挟まれてちょっと困惑気味の棚村さん
「星の時間」は額に収まり、床の間に飾られています。
額の素材はチェリーで、時間経過と共に風合いが変わっていくとのことで、この絵にピッタリだと思いました。
ちなみにチェリーは漢字で書くと「桜桃」ですので「モモ(桃)」がちゃんとかかっているのです。
絵は写真だけでなく、実際に、直接見てもらいたいと思います。
先ほど少し触れましたが、今後も棚村さんの絵を増やしていけたらと考えていて、半年か1年に1作ずつ依頼させてもらえたら嬉しいです。
おそらく僕が描いてもらいたかった「時間の花」は、1番最後に描いてもらうことになるような気がしています。そしてその作品は「過去」「現在」「未来」の三部作からなる超大作で、予算は軽く百万を超えるでしょう……ゲストハウスの営業がんばります。笑
そう考えると、「ゲストハウスにお客さんが泊まりに来ることによって棚村さんの絵が新たに生まれる」という解釈もできますよね。こういう考え方ってけっこう好きです。
ゲストハウスを通じてお客さんと棚村さんが間接的につながっていく。
そのうち棚村さんの絵を目的に泊まりに来てくれるお客さんなども出てきたりして、そういうの素敵だなと思います。
棚村ファンにお越しいただける日が楽しみです。
追記:2019/9/5 クラウドファンディング「ゲストハウス『どこにもない家』に泊まりに来てほしい!」を達成しました!